コンサルが信用されない本当の理由
written by 中村 弘樹
「コンサルって、ちょっと怪しいですよね」。仕事を始めて20年以上経つあいだに、この言葉は本当に何度も耳にしてきました。
表面の理由はいろいろあるのですが、根っこにあるのは、もっとシンプルな問いだと思っています。「あなたは、何者なのか」。今日は、そのあたりを書いてみます。
「あなたは何者か」が、信頼を決める
コンサルが怪しいと言われるとき、本当に問われているのは料金でもサービス内容でもなく、「あなたは、自分でやったことがある人なのか」という一点だと感じます。
実務の現場を知らずに、本やセミナーで知った理論を語る人。失敗の傷を自分で負ったことがない人。こういう人の言葉には、どうしても「軽さ」が滲んでしまいます。受け手側は、それを敏感にキャッチします。
知識と経験は、別ものなんですよね
「うちは知識を売っているので、経験は関係ない」と思いたくなるのですが、現場ではそうはいきません。
知識は誰でも仕入れられるものですが、経験は痛みを伴ってしか手に入りません。経営の苦しさを自分で味わったことがある人と、外から見ているだけの人。同じことを話しても、言葉の重みはまったく違います。
マーケティングを「怖い」と感じたことがあるか
たとえば、自分のお金で広告を出した経験。これがあるかないかで、マーケティングの語り方は大きく変わります。
1万円の広告でも、自分の財布から出して反応がゼロだったとき、お腹の底にずしんとくるものがあります。「失敗は学びです」と言うのは簡単ですが、本当の意味で身体に染み込むのは、痛みを通った人だけです。僕は、こうした怖さを通っていない助言は、どこかで現場と食い違うと思っています。
本当の価値は、知識量ではなく「問いの質」
経験豊富なコンサルタントが提供しているのは、答えではなく問いだと思います。
「いま、本当に解くべき課題はどれか」「数字の悪化は、本当に売上が原因か、それとも別のところか」。痛みを知っている人ほど、相手の現場の急所を見抜く問いを置けます。知識量ではなく、問いの深さで仕事の価値が決まる。これは、ブランディングでもマーケティングでも同じです。
教科書通りの提案は、現場で滑る
もうひとつ、よくあるすれ違いがあります。教科書通りの正論を、そのまま現場に投げ込んでしまうケースです。
その会社にはその会社の歴史があり、地域があり、既存顧客との関係があります。これらをすっ飛ばした提案は、どれだけ理屈が美しくても、現場の上を滑っていくだけです。
信頼は、肩書きではなく「言葉の重み」に宿る
結局のところ、信頼は資格や肩書きではなく、その人が積み上げてきた経験の重みに宿ります。
「自分にも分からないことはあります」と言える誠実さも含めて、痛みを通ってきた人の言葉には、滲み出てくるものがあります。コンサルが信用されない本当の理由は、相手側にあるのではなく、自分が何者として立っているかを、もう一度問い直すことから見えてくるのだと思います。