マーケティング

強みを並べても売れない理由。お客さんの”心のスイッチ”を押す訴求とは?

written by 中村 弘樹

独立してから、しばらくのあいだ自分でネットショップを運営していた時期があります。雑貨やインテリアを扱うお店だったのですが、当時の僕はとにかく「商品の強み」を伝えることに必死でした。

でも、強みをいくら並べても、売上はちっとも動かなかったんですよね。今日は、その経験から学んだ、訴求の入口の話を書いてみます。

強みを書きまくっても、何も変わらない

当時の商品ページは、いま見ても情報量はかなり多いほうだったと思います。素材、サイズ、製法、デザインのこだわり、生産者のストーリー。書ける強みはぜんぶ書いていました。

でも、お客さまには響かない。アクセス数は増えるのに、購入には結びつかない。何が足りないのか、当時の僕には本当に見えていませんでした。

購入してくださった方の声で、見え方が一変した

転機になったのは、購入してくださったお客さまへ、簡単なヒアリングをやってみたことです。

返ってきた答えに、僕はけっこう面食らいました。「部屋の雰囲気に合いそうだったので」「これがあると、毎日の気分が少し明るくなりそうだったから」。誰ひとり、商品スペックには触れていなかったんです。

選ばれる理由は、スペックではなく「変化の予感」

つまり、お客さまは商品そのものではなく、「これを買うと、自分の生活がどう変わるか」で選んでいました。

素材や製法は、その変化に説得力を持たせる補強情報として効いていただけです。本当のスイッチは、もっと前にある「未来の自分の景色」のほうでした。

訴求を「未来の景色」に書き換える

そこから商品ページの書き方を、ぜんぶ書き直しました。

冒頭に置くのはスペックではなく、「これが部屋にあると、朝の景色がこう変わります」「夜、これを灯すと、家全体が少しだけ静かになります」といった生活のシーンです。商品の特徴は、そのあとに信頼を支える素材として並べる。順番を変えただけで、購入率は明らかに動きました。

「強み」と「変化」を分けて整理する

このときに学んだのは、強みと変化は別の情報として整理する必要がある、ということです。

強みは、商品やサービスの側にある事実。変化は、お客さまの側に起きる物語。同じ事業を語るのでも、変化のほうから書きはじめると、ぐっと読み手の中に景色が広がります。心のスイッチは、強みではなく、変化の側にあるんですよね。

選ばれる訴求は、相手の朝の景色を描けるか

いまもブランディングのお仕事で、最初に確認するのはこの問いです。「このサービスを使うと、お客さまの朝の景色は、何時から何時のあいだに、どう変わりますか」。

ここまで具体に降りられると、サイトもパンフレットも採用ページも、書く順番が自然と決まっていきます。強みを並べたい衝動を一度ぐっと押さえて、相手の生活の景色を描きにいく。そこから訴求は、ようやく動きはじめます。

お問い合わせ、無料相談は
お気軽にどうぞ
Contact Us