ターゲットを絞るとお客さんは減る?実は逆なんです。
written by 中村 弘樹
「ターゲットを絞ると、お客さまの母数が減ってしまうんじゃないですか」。マーケティングの相談で、本当によく聞かれるご質問です。
気持ちはとても分かります。でも僕が現場で目にしているのは、絞った会社ほど、結果としてお客さまが増えていく光景のほうです。
消費は、もう「安さ」と「価値」に二極化している
少し前提として、いまの消費者は大きく二つのモードに分かれてきています。
ひとつは、「とにかく安いほうを選ぶ」モード。もうひとつは、「多少高くても、共感できる相手から買う」モードです。中途半端な真ん中の層は、年々小さくなっています。後者と関係を結びたいなら、ターゲットを絞ることは避けて通れません。
絞ると、メッセージがぶれなくなる
ターゲットが定まると、サイト、SNS、パンフレット、接客。すべての発信のトーンが揃います。
「誰に向けた言葉か」が分かるから、関わるスタッフも迷わず動ける。共感した人が「自分のための場所だ」と感じやすくなる。これが、リピートや紹介の伸びにつながっていきます。
量から質へ、お客さまの中身も変わる
ターゲットを絞ると、来てくださるお客さまの質が変わります。
価値を理解してくれている人。価格ではなく共感で選んでくれている人。長くお付き合いいただける人。こうしたお客さまの比率が上がると、不思議と単価も上がり、紹介も増え、結果として売上の安定感も増していきます。
「質の高いお客さまを育てる」という視点
もう一段だけ踏み込むと、ターゲット設計は、「自社にぴったりのお客さまを育てる」働きも持っています。
発信を通じて、商品を選ぶ視点や、価値の見方を共有していく。すると、最初は価格で選んでいた方も、だんだん「価値で選ぶ層」に育っていきます。理解と信頼の積み立てが、長期の関係をつくります。
絞ることは、関係を深めることだ
ターゲットを絞るというのは、対象を切り捨てる作業ではなく、価値を共有できる人との関係を深めにいく作業です。
短期で見れば、母数は減ったように見えるかもしれません。でも、3年5年と続けていくと、絞らなかった会社よりずっと安定した経営になっていきます。怖さの先にある、いちばん効く打ち手だと思っています。