届けたい相手が見えた瞬間、マーケティングは動き出す
written by 中村 弘樹
マーケティングの相談で、僕がいちばん先に確かめにいくのは、「誰に届けたいか」が見えているかどうかです。
商品力でも価格でもなく、「Who」の解像度から、すべての施策がぶら下がっていきます。
Whoの解像度って、なに
解像度というのは、ターゲットの輪郭がどこまで具体に見えているか、ということです。
「30〜50代の経営者」「子育て中の主婦」では、まだ範囲としか言えません。輪郭としては、ぼんやりしすぎています。届ける相手の年齢、仕事、家族構成、いまの悩み、これからの夢のかたち。ここまで描けて、はじめて発信が動きはじめます。
たとえば「山田太郎さん」を、設定してみる
解像度を上げる一番手っ取り早い方法は、ペルソナをひとり、本物の人として書き起こすことです。
「山田太郎さん、46歳、地方都市の建設会社2代目社長。社員12人、創業47年の会社。本人は職人気質で、営業や発信が苦手。最近の悩みは採用と若手の定着。週末は家族で温泉に行くのが楽しみ」。ここまで書けると、何を発信すればいいかが、自然に絞られてきます。
Whoが具体になると、言葉が変わる
輪郭がはっきりすると、言葉の選び方が変わります。
山田さんがふだん使う言葉、ふだん感じている痛み、ふだん憧れていること。これに合わせて発信を組むと、「これは、私のことだ」と感じてもらえる確率が上がります。逆に、抽象的な層にしか向けていない言葉は、いつまで経っても他人事にしかなりません。
Whoは一人でいい。でも深く知る
「ペルソナを増やしたほうが、対象が広がるのでは」と聞かれることがあります。でも、僕はあまり推奨していません。
一人を浅く描くより、一人を深く描いて、その隣に立っている人にまで届けにいく。深さがあるメッセージは、似た境遇の人にも届くものです。届ける相手は、一人で十分です。
マーケティングの起点は、いつもWho
商品力、価格、媒体、タイミング。マーケティングを構成する要素はたくさんあります。
でも、すべての判断を支えてくれているのは、「Who」の輪郭です。ここがぶれると、ほかの要素もぶれていきます。届けたい相手が見えた瞬間、マーケティングはようやく動き出します。