ブランディング

採用写真は、盛らないほうが人が続く

written by 中村 弘樹

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採用ページに載せる写真は、つい、かっちり決めた一枚を並べたくなります。実物より少しよく見せたい、という気持ちも働く。でも、盛って集めた人は、あとで離れていきます。実物を見て来てくれた人は、そのまま続く。今日は、採用と広報における「盛らない」ということを書いてみます。

印象は、実物と期待の差で決まる

写真がよくできていると、見た人の期待がぐっと上がります。それ自体は悪いことではありません。問題はその次です。実際に会社に足を運んだとき、あるいは入社したとき、その期待と目の前の現実が一致していないと、人は「思っていたのと違う」となる。このギャップは、強く残ります。

印象というのは、その会社そのものの良し悪しだけでなく、事前に持たせた期待との差で決まります。だから盛るというのは、自分でハードルを上げてから、その下をくぐりに行くようなものです。せっかくいい会社なのに、見せ方で損をしてしまう。

削れていくのは、信頼

失うのは、入社後のがっかりだけではありません。「聞いていたのと違った」という経験をした人は、その後に会社が発する言葉も、少し疑うようになります。理念も、評価の説明も、上司の言葉も。一度そう受け取られると、どれだけ丁寧に本当のことを伝えても、まっすぐには届きにくくなる。採用広報で盛るということは、入ってくれた人との信頼を、最初に削っておくことでもあるのです。

作りすぎた笑顔は、すぐ伝わる

人を撮るときは、これがはっきり出ます。採用ページで効いてくるのは、社員が普通に働いている表情です。作りすぎた笑顔は、見ている人にすぐ伝わる。応募者は、思っている以上に敏感です。

そして、盛った写真で来てくれた人ほど、入ってから「思っていた雰囲気と違った」となりやすい。これがいちばん辛いところです。せっかく縁があって来てくれたのに、お互いに合わなかった、という話になってしまう。見せ方を実物に寄せていれば、そもそも起きなかったミスマッチです。数だけ見ると、盛って集めたほうが応募は多く見える。でも、離れていく数まで含めて見ると、たぶん逆なんです。

盛るのは、自分たちの価値に気づいていないから

では、なぜ盛りたくなるのか。多くの場合、自分たちの価値に、自分たちで気づけていないからだと思います。このままでは選ばれない気がする。だから何かを足して、埋めなければと思う。

でも、外から見ると、選ばれている理由は、たいていその会社が「そんなの当たり前」と思っている部分にあります。毎朝きちんと掃除している。無理なことは無理と言う。困っている人に一度は足を運ぶ。本人たちは価値だと思っていないから、そこは見せずに、関係ないところを飾ろうとしてしまう。広報や採用担当を育てるとき、僕がいちばん時間をかけてもらうのは、ここです。新しい魅力を作り出すのではなく、すでにあるのに埋もれている価値を、社内で見つけて、言葉と写真にすること。ない光を書き足すのではなく、あるのに当たっていない光に、ちゃんと当てる。足すより、磨く、のほうが近い。

「思ってた通りだった」の積み重ねが、選ばれ続ける理由になる

盛った状態は、維持するのがしんどい。背伸びして見せたら、その背伸びに合わせ続けなければならず、実際の組織との距離が空くほど、内側が苦しくなります。等身大の一番いいところを見せているなら、そのまま続けられる。無理がない分、長く走れます。

選ばれ続けるブランドは、一発のインパクトではなく、「思ってた通りだった」の積み重ねでできています。派手さより、内と外が一致していること。組織の内側で起きていることと、外に見せているものがそろっているほど、信頼は静かに積み上がっていく。まずは一度、自社の採用ページや広報の写真を、初めて見る人の目で眺めてみてください。実際に来た人が「思ってた通りだな」と感じるか。もし盛っているところがあれば、写真を撮り直すより、その部分を実際に良くしてしまう。それが、遠回りに見えて、いちばんの近道だと思います。

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