社員一人ひとりの行動が、会社のブランドをつくっている
written by apricot
会社の印象は、どこで決まるのでしょうか。
ホームページのデザイン。
会社のロゴ。
SNSで発信している内容。
商品やサービスの品質。
どれも、ブランドを形づくる大切な要素です。
けれど、お客様が会社に抱く印象は、それだけではありません。
問い合わせをしたときに、親身に話を聞いてもらえた。
担当者の説明が分かりやすかった。
トラブルが起きたときに、誠実に対応してもらえた。
社員同士のやり取りから、良い雰囲気が伝わってきた。
反対に、広告には魅力を感じていたのに、問い合わせへの返答が冷たかった。担当者によって説明が違った。社内で情報が共有されていなかった。
こうした一つひとつの体験が、その会社への印象になります。
会社のブランドは、広報やデザイナーだけがつくるものではありません。
お客様と関わる社員一人ひとりの行動によって、毎日つくられています。
ブランドは「相手の中に残る印象」
企業がどれほど丁寧にブランドを設計しても、最終的にどのような会社だと感じるかを決めるのは、顧客や取引先、求職者です。
「この会社は安心できる」
「相談しやすい」
「いつも対応が丁寧」
「新しい提案をしてくれる」
「社員が楽しそうに働いている」
このように、相手の中に積み重なった印象がブランドになります。
だからこそ、会社が伝えたいイメージと、社員が実際に届けている体験を切り離すことはできません。
「信頼される会社」を目指しているのであれば、広告で信頼を語るだけでは足りません。
問い合わせへの返信、約束の守り方、説明の分かりやすさ、トラブル時の対応など、あらゆる場面で信頼を感じてもらう必要があります。
顧客体験は、社内の働き方から生まれる
社員に「もっと良い顧客対応をしてください」と伝えるだけでは、顧客体験はなかなか変わりません。
社員の対応は、本人の接客スキルだけで決まるものではないからです。
必要な情報が共有されていない。
担当者に判断権限がない。
業務量が多く、顧客の話を聞く余裕がない。
部署同士の連携が悪い。
失敗を報告すると責められる。
このような社内環境では、お客様に対して丁寧で柔軟な対応を続けることは難しくなります。
お客様が感じる不便の背景に、社内のコミュニケーションや役割分担の問題が隠れていることもあります。
顧客体験を良くしたいのであれば、まず社員がどのような環境で働き、何に困っているのかを見る必要があります。
社内で受け取っている体験が、形を変えて社外への対応に表れるからです。
同じマニュアルでも、届け方には個性が出る
会社らしい対応をそろえるために、接客マニュアルや行動基準をつくることがあります。
一定の品質を保つためには必要なものです。
ただし、すべての社員に同じ表現、同じ振る舞いを求めすぎると、その人らしい強みが失われることもあります。
相手の話を丁寧に聞くことが得意な人。
情報を分かりやすく整理することが得意な人。
小さな変化に気づき、先回りして対応できる人。
新しい選択肢を提案することが得意な人。
社員によって、お客様に価値を届ける方法は異なります。
大切なのは、全員を同じ人にすることではありません。
会社が約束する価値を共有したうえで、それぞれの強みを生かして届けてもらうことです。
自分の強みが、顧客への価値に変わる
社員が自分の強みを理解していても、それが会社や顧客にどのような価値を生むのか分からなければ、仕事では生かしにくいものです。
例えば、「人の話をよく聞ける」という強みがあります。
これを性格の特徴で終わらせず、
「お客様がまだ言葉にできていない不安まで聞き取れる」
「社内の異なる意見を整理し、認識を合わせられる」
と、仕事で生まれる価値に変換します。
「計画を立てるのが得意」であれば、
「お客様が見通しを持てるように、進行を分かりやすく共有できる」
「小さな違和感に気づける」であれば、
「問題が大きくなる前に、顧客やチームへ確認できる」
と考えられます。
社員自身が「自分のこの行動が、会社の価値やお客様の体験につながっている」と理解すると、仕事への意味づけも変わっていきます。
お客様と直接会わない社員も、ブランドをつくっている
ブランド形成に関わるのは、営業職や接客職だけではありません。
経理が正確に請求書を発行する。
事務職が必要な情報を整理する。
システム担当者が社員の業務を支える。
人事が採用候補者に丁寧に連絡する。
管理職が、社員の相談を受け止める。
こうした仕事も、巡り巡って顧客体験や企業への信頼につながります。
社内で働く人を支えることは、その社員がお客様に良い価値を届けられる環境をつくることです。
直接お客様と接していないからブランドとは関係がない、と考えるのではなく、自分の仕事が誰に影響し、その先でどのような体験を生んでいるのかを見えるようにする必要があります。
良い行動を、偶然で終わらせない
会社らしい行動が一部の優秀な社員だけに依存していると、その人が異動や退職をしたときに顧客体験が変わってしまいます。
大切なのは、良い行動を見つけ、組織の中で共有することです。
例えば、お客様から感謝の声をいただいたとき、結果だけを紹介するのではなく、
- どのような状況だったのか
- 社員は何を考えたのか
- どのような行動を選んだのか
- その行動は会社のどの価値を表していたのか
まで振り返ります。
すると、個人の経験が、他の社員も参考にできる会社の知恵になります。
成功事例を型として押しつけるのではなく、判断の背景にある考え方を共有する。それによって、社員は別の場面でも会社らしい判断ができるようになります。
社員の行動を支える仕組みも、ブランドの一部
会社らしい行動を求めるのであれば、その行動を取りやすい仕組みも必要です。
お客様の話を丁寧に聞くことを大切にするなら、一件ごとの対応時間に余裕が必要です。
部署を越えた協力を大切にするなら、情報を共有できる場や、協力した行動を評価する仕組みが必要です。
挑戦を大切にするなら、小さく試せる機会と、失敗から学ぶ風土が必要です。
社員の善意や努力だけに任せていては、会社らしい行動を継続することはできません。
制度、業務設計、評価、管理職の関わり方も含めて、会社が届けたいブランドを支える必要があります。
ブランドを、社員と一緒に育てていく
経営者や広報担当者が会社のブランドを決め、社員に守ってもらう。
それだけでは、ブランドは組織の中に根づきにくいものです。
社員自身が、
「私たちの会社は、誰にどのような価値を届けたいのか」
「お客様に、どのような会社だと感じてもらいたいのか」
「自分の役割では、どのような行動ができるのか」
を考え、言葉にすることが大切です。
ブランドは完成させてから社員へ渡すものではありません。
社員の経験や強み、顧客との関わりを通して、組織の内側から育てていくものです。
一人ひとりの行動は小さく見えても、その積み重ねがお客様の体験となり、会社への信頼になります。
社員の強みを、会社のブランドにつなげます
Think for Designでは、社員一人ひとりの価値観や強みを整理し、それぞれの役割で会社の理念やブランドをどのように表現できるかを考えるコーチング・ワークショップを実施しています。
社員を同じ型に当てはめるのではなく、一人ひとりの強みを、顧客やチームに届ける価値へ変えていくことを大切にしています。
ブランドを社内から育てたい、社員の行動と顧客体験をつなげたい、会社らしい行動を組織全体に広げたい企業様は、ぜひ一度ご相談ください。