「ターゲットを決める」とは、”誰のために届けたいか”を決めること。
written by 中村 弘樹
マーケティングの相談で、「ターゲットを決めましょう」と話すと、少し身構える経営者の方がいらっしゃいます。「お客さまを限定するのは、ちょっと怖くて」と。
気持ちはとても分かります。でもターゲットを決めることは、お客さまを切り捨てる仕事ではなく、「誰のために届けたいか」を決める仕事だと、僕は思っています。
ターゲットが明確だと、伝わる精度が上がる
誰に向けて話しているのかが分かっている会話は、自然と相手に届きます。逆に、誰宛か分からないアナウンスは、聞き流されます。
マーケティングも同じです。届ける相手の年齢、仕事、暮らし、悩み、夢のかたち。ここの解像度が上がれば上がるほど、伝える言葉も、見せ方も、自然と決まっていきます。
「みんなに届けよう」とすると、誰にも刺さらない
「いろんな人に来てほしい」という気持ちでつくった発信は、たいてい「ちょっと古い」「ちょっと軽い」「ちょっと無難」という、当たり障りのない位置に着地します。
誰にとっても致命傷ではないけれど、誰の心にも残らない。「まさに自分のことだ」と感じてもらえるためには、「あなたのこと」と言い切れる相手が、頭のなかにいる必要があります。
絞ることは、切り捨てではない
ターゲットを絞ると、その外側の人に届かなくなる、と思われがちです。でも、僕の経験ではむしろ逆です。
「これは、私のための話だ」と感じた人は、自分から発信をシェアしてくれます。本人と少し違うけれど、似た悩みを抱えている人に、自然と広がっていく。狭く設計したほうが、結果として広く届くという現象は、本当によく起きます。
誰に届けたいかが決まると、発信は楽になる
ターゲットがぼんやりしているうちは、発信のたびに「これでいいのかな」と迷い続けます。
逆に、届けたい相手が一人、はっきり立ち上がっていると、言葉選びもビジュアルもトーンも、その人にとって自然なものを選ぶだけで進められます。発信の負担が、ぐっと軽くなるんですよね。
「たった一人」を想像できることが、いちばん速い
ターゲット設計の本当の意味は、「たった一人の顔を、はっきり想像できる状態にすること」だと感じています。
その一人にとっての朝、夜、悩み、迷い、嬉しさ。ここが描けるようになると、その先の似た背景を持つたくさんの人に、不思議と届くようになる。「みんなに届けたい」より、「あなたに届けたい」のほうが、結果として広がっていく道です。