採用のミスマッチはなぜ起きる?ブランド店から学ぶ”選ばれる採用”の考え方
written by 中村 弘樹
「採用してもすぐに辞めてしまう」「期待していた人物像と違った」。採用のミスマッチでお悩みの会社さんは、本当に多いです。
原因をたどっていくと、求人原稿そのものではなく、伝え方の前提にあるブランドの考え方にたどり着きます。今日はその話を書いてみます。
「誰でもいいから応募してね」が、ミスマッチの入口
求人票でやってしまいがちなのが、なるべく多くの人に応募してもらおうとして、強みやメリットを並べてしまうパターンです。
福利厚生、年収レンジ、休日の多さ、社風の良さ。並べているうちに、いつのまにか「誰にとってもよさそうな会社」になっていきます。これは、結果として「誰のための会社か」を曖昧にしてしまいます。
ブランド店は、誰にでも来てほしいわけではない
少し視点を変えて、街のブランド店の振る舞いを見てみます。
高級ブランドのお店は、誰にでも入ってほしいとは思っていません。店構え、接客の温度、置いている商品の数。ぜんぶ、来てほしいお客さまに合わせて選び抜かれています。これと同じことが、採用にもそのまま当てはまります。
「来てほしい人」と「合わない人」を、両方言葉にする
僕が採用ブランディングで大切にしているのは、「来てほしい人」だけでなく、「うちには合わないかもしれない人」も言葉にすることです。
たとえば、「指示を待つより、自分で動いて確かめたい人」「一人で集中するより、チームで議論したい人」。こうした言葉が並ぶことで、求職者は自分の働き方とのすり合わせができます。応募の手前で、ミスマッチが減っていきます。
悪い面の開示は、信頼の入り口
もうひとつ大事なのが、会社のしんどさを、ある程度ニュートラルに伝えてあげることです。
「決まりきった答えがないので、迷う時間が長い」「大企業のような仕組みは、まだ整っていない」。この種の話は隠したくなりますが、隠したぶんだけ入社後のギャップとして跳ね返ってきます。最初に伝えておくほうが、結果として信頼につながります。
同じ特徴が、人によって長所にも短所にも見える
会社の特徴は、人によって受け取り方が反転します。
スピードが早い、挑戦の機会が多い、幅広い役割を任される。ある人にとっては魅力ですが、別の人にとっては負担です。だからこそ、特徴を「魅力」ではなく「事実」として書いてあげる。受け止め方は、求職者の側に委ねる。これが、ミスマッチが減る求人原稿の書き方だと感じます。
選ばれる採用は、選ぶ採用でもある
採用は、応募してくれる人を待つだけの仕事ではありません。会社側もまた、価値観の合う人を選んでいくプロセスです。
だからこそ、「どんな人と一緒に働きたいか」をはっきり言えること。それと同じくらい、「合わないかもしれない人」を丁寧に言葉にしておくこと。この二つが揃うほど、入社後の手応えは確かなものになっていきます。