会社の魅力が見つからないとき、私は「価値」ではなく「文脈」を見にいく
written by 中村 弘樹
「うちには、特別な魅力なんてないんですよ」。そう前置きされてご相談がはじまることが、本当によくあります。
でも僕は、本当に魅力がない会社に、これまで一度も出会ったことがありません。あるのは、魅力が見えていない状態と、文脈のなかで整理されていない状態だけだと思っています。
「魅力がない会社」は、ほぼ存在しない
魅力が見えにくくなるのは、たいてい二つのうちどちらかです。社内では当たり前すぎて、自分たちが価値だと気づけていない。あるいは、価値の文脈が言葉になっていなくて、外にもちゃんと届いていない。
どちらも、魅力がないわけではなく、整理されていないだけです。だから僕の仕事は、新しい魅力をつくることよりも、もう持っている魅力を一緒に発掘することのほうが、ずっと多いです。
価値は、「変化」から生まれてくる
価値とは何ですかと聞かれたら、僕は「誰かの状態を変えること」と答えます。
商品やサービスそのものが価値なのではなく、それを使う前と使ったあとで、お客さまの状態がどう変わるか。ここが価値の正体です。状態は人によって違うので、価値は絶対的なものではなく、相対的に立ち上がるものだと考えています。
人は、自分が変わる瞬間に価値を感じる
「こうなりたい」「こうじゃなくなりたい」。そんな願いや課題を持っている人にとって、その変化をもたらしてくれるものは、特別な価値として記憶に残ります。
逆に、どれだけ機能が優れていても、その人の今の状態と関係がなければ、なかなか価値を感じてもらえません。「いい商品」と「自分にとって価値がある商品」は、別ものなんですよね。
「価値がない」と感じてしまう、よくあるワナ
会社が自社の価値を見失うときは、たいてい二つのワナにはまっています。
ひとつめは、「全員にとっての価値」を求めてしまうこと。誰にとっての価値かが決まっていないと、価値は薄まって見えます。ふたつめは、適切でない競合と比べてしまうこと。資本も歴史も違う会社と並べてしまうと、自社の輪郭は当然ぼやけます。
魅力は、文脈のなかで見えてくる
魅力は、社内を内省して探すものではなく、お客さまの文脈のなかで初めて立ち上がるものだと思います。
「誰の、どんな状況を、どう変えているのか」。この三つを、一度ご一緒に整理してみる。すると、ふだん「当たり前」と扱っていた仕事のなかに、はっとするような価値が眠っていることが見えてきます。価値ではなく、文脈を見にいく。これが、僕のブランディングの入口です。