最低賃金1,117円へ。「給与を上げる」だけで社員は定着する?
Think for Designが拠点を置く長野県では、2026年10月2日から最低賃金が1,117円になります。これまでの1,061円から、56円の引き上げです。
最低賃金は、正社員だけでなく、パートやアルバイトなど雇用形態にかかわらず、原則として長野県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。
企業にとっては、給与の見直しや人件費の再計算が必要になる大きな変更。だからこそ、この機会を単に「最低賃金に合わせて時給を変更する作業」だけで終わらせるのは、少しもったいないかもしれません。
給与を見直すタイミングに、あらためて社員が現在の仕事や働き方をどのように感じているのか、確認することをおすすめします。
今、多くの企業が人材の定着・確保を目的に賃上げを考えている
帝国データバンクの調査によると、2026年度に正社員の賃金改善を見込む企業は、全国で63.5%でした。
賃金改善を行う理由として最も多かったのは、人手不足などによる「労働力の定着・確保」で、74.3%に上ります。
多くの企業が、人材を採用し、今いる社員に働き続けてもらうために、給与を上げようとしていることが分かります。
給与は、働く会社を選ぶときにも、仕事を続けるかどうかを考えるときにも重要な条件です。
物価が上がるなかで社員の生活を支えるためにも、仕事や責任に見合う給与を支払うためにも、賃金の見直しは欠かせません。
しかし、給与を上げるだけで「この会社で働き続けたい」という気持ちまで生まれるとは限りません。
給与が上がっても、不満の原因が残ることがある
たとえば、給与が上がったとしても、
- 一人に仕事が偏っている
- 責任だけが増え、役割や権限が曖昧なままになっている
- 頑張っても評価されている実感がない
- 今後どのように成長できるのか分からない
- 相談したくても、話せる相手や機会がない
- 希望する生活と現在の働き方が合わなくなっている
といった状態が続いていれば、定着につながらないことがあります。
会社側には、給与を上げるための大きな負担があります。
それでも社員から「評価されていない」「この先が見えない」と思われてしまったら、会社にとっても残念なことです。
大切なのは、賃上げを実施した事実だけではなく、給与、仕事量、役割、評価、働き方の関係を整理することです。
賃上げを、社員の現在地を知る機会にする
今回の最低賃金改定をきっかけに、給与の金額だけでなく、社員が現在の仕事をどのように受け止めているかを聞いてみてはいかがでしょうか。
- 今の仕事量や責任と、給与とのバランスをどう感じているか
- 担っている仕事の中で、負担が大きくなっているものはないか
- 以前と比べて、役割や責任が変わった部分はあるか
- 評価や給与について、分かりにくいと感じることはあるか
給与に対する不満が出ることを心配して、聞きにくいと感じる経営者や管理職の方もいるかもしれません。
しかし、不満を聞くことは、その場ですべての要望に応えることではありません。
社員が何に納得できていないのかを知り、会社として対応できること、すぐには難しいこと、条件が整えば検討できることを分けて話すことが大切です。
給与以外に大切にしていることも聞いてみる
社員が働き続ける理由は、給与だけではありません。
- 家族と過ごす時間を確保したい
- 趣味や旅行を楽しめる生活を送りたい
- 得意なことを生かして働きたい
- 誰かの役に立っている実感がほしい
- 安心できる人間関係の中で働きたい
- 自分の成長を感じたい
- 無理のない働き方を続けたい
人によって、大切にしているものは異なります。
仕事以外のことを聞く場合は、無理に詳しく話してもらう必要はありません。
目的は私生活を把握することではなく、その人が働き続けるために、会社として何を考える必要があるかを知ることです。
賃上げを「会社からの一方的な通知」で終わらせない
最低賃金の改定に伴って給与を変更するとき、会社から社員へ金額だけを通知するケースもあります。
もちろん、変更内容を正確に伝えることは必要です。
そのうえで、
- なぜ今回の給与変更を行うのか
- 会社として社員にどのように働いてほしいと考えているのか
- 今後、役割や評価をどのように整理していくのか
- 社員の希望や困りごとを、どこで聞くのか
まで伝えられると、賃上げの意味が変わります。
「法律が変わったから仕方なく上げた」と受け取られるのか。
「これからも働いてもらうために、会社が給与や働き方を見直そうとしている」と伝わるのか。
同じ金額の変更でも、会社からの説明や普段の対話によって、社員の受け止め方は異なります。
「働き続けたい理由」は、給与と対話の両方からつくられる
給与が大切ではない、という話ではありません。
生活を支え、仕事の責任や貢献に報いるために、給与は重要です。
しかし、社員の定着を考えるなら、給与を上げたあとにも目を向ける必要があります。
今の仕事量に納得できているか。
担っている役割が適切に評価されているか。
これから挑戦したい仕事があるか。
どのような生活や時間を大切にしたいか。
会社の中で、自分が働き続ける未来を描けているか。
賃上げを、こうしたことを社員と話すきっかけにする。
それが、金額の変更を「この会社で働き続けたい理由」へつなげる第一歩になるのではないでしょうか。
Think for Designでは、給与だけでは見えない社員の希望を整理します
社内の面談では、給与や評価に関する話は、お互いに慎重になりやすいものです。
社員は「不満を言っていると思われないか」と心配し、経営者や管理職は「すべての希望に応えられない」と感じることがあります。
Think for Designでは、仕事だけでなく、本人が大切にしたい生活、これまでの経験、得意なこと、これから希望する働き方を対話によって整理します。
そのうえで、本人の希望をそのまま会社へ要求するのではなく、
- 本人が担ってみたい役割
- 現在の仕事で見直したいこと
- 力を発揮するために必要な支援
- 会社の中で試せる小さな行動
として、仕事や組織との接点を考えます。
最低賃金や給与を見直す今だからこそ、社員が何を大切にし、どのように働いていきたいのかも一緒に見直してみませんか。
社員面談や1on1の進め方、社員の希望を役割や組織改善につなげる方法について、企業ごとの状況に合わせてご相談いただけます。