苦手な人と働くときこそ、その人自身を知っておく
仕事をしていると、「この人とは合わないかもしれない」と感じることがあります。
仕事のやり方や優先順位が違う。
進めるペースが合わない。
大切にしている基準が違う。
相談するタイミングや、必要だと思う情報も違う。
自分なら当然こうすると思っていることを、相手はしない。反対に、自分には必要ないと思うことを、相手は何度も確認してくる。
相手の行動の理由が分からないと、「仕事が遅い」「雑に進める」「細かすぎる」「話が通じない」と感じ、苦手意識が生まれやすくなります。
しかし、仕事では、苦手だからといって関わらずに済むとは限りません。一緒に仕事を進めなければならない場面もあります。
苦手意識から必要な相談や確認まで避けてしまうと、認識のずれや伝達漏れが起こり、職場やお客様に迷惑をかけてしまう可能性があります。
ミスが起こると、ますます相手と関わりたくなくなる。相手も話しかけにくくなり、職場に不穏な空気が流れる。
これは、お互いにとって苦しい悪循環です。
人は、理解できない相手に苦手意識を持ちやすい
私たちは、相手の行動だけを見て、その人を判断してしまうことがあります。
たとえば、仕事を始める前に細かく確認する人がいたとします。
相手は、間違いや手戻りを防ぐために慎重に確認しているのかもしれません。しかし、その理由を知らなければ、「自分で考えず、何でも聞いてくる人」に見えることがあります。
反対に、あまり相談せずに仕事を進める人は、「周囲の意見を聞かない人」に見えるかもしれません。
しかし、本人は「ある程度自分で考えてから相談することが、相手への配慮だ」と考えている可能性があります。
行動だけを見ると理解できなくても、相手が何を大切にし、なぜその方法を選んでいるのかが分かると、見え方は変わります。
苦手意識をなくそうとする前に、まずは相手を理解するための情報を増やすことが必要です。
「苦手かも」と思った人ほど、その人自身の話を聞いてみる
仕事の進め方を知りたいときは、仕事の話だけではなく、その人自身について聞いてみることをおすすめします。
もちろん、私生活へ無理に踏み込んだり、答えたくないことまで聞き出したりする必要はありません。
本人が話せる範囲で、
- 普段、どんな生活を大事にしているのか
- 物事をどのように考え、決めているのか
- どのような状態だと安心できるのか
- 人とどのような距離感で関わっているのか
- 働くことに、どのような意味を感じているのか
を知っていきます。
その人自身について知ることで、仕事で見えている行動の理由が分かることがあります。
自分自身をどう理解しているかを聞く
まず、その人が自分自身をどのように捉えているかを聞いてみます。
自分を「慎重なタイプ」だと捉えている人は、確認する時間が必要なのかもしれません。
「考えながら動くタイプ」だと捉えている人は、すべてを決めてから始めるより、試しながら調整するほうが力を発揮しやすい可能性があります。
その人が自分をどのように理解しているかを知ると、仕事に向き合う姿勢や、必要としている関わり方が見えてきます。
私生活で大切にしていることから、働く意味が見える
仕事以外で何を大切にしているかを聞くと、その人が何のために働いているのかが見えることがあります。
同じ会社で働いていても、働く意味は人によって異なります。
成長や昇進を目指す人もいれば、安定して長く働くことを大切にする人もいます。仕事以外の生活を守るために、決められた時間の中で集中して働きたい人もいます。
何を大切にして働いているのかが分かると、仕事の任せ方や声のかけ方、本人が力を入れたい役割も理解しやすくなります。
私生活での行動から、仕事の進め方が見える
仕事以外の場面で、どのように物事を進めているかを聞いてみるのも一つの方法です。
旅行や予定など細かく計画を立てる人には、仕事でも早めに目的や期限、完成イメージを伝えたほうが安心して進められるかもしれません。
まず行動してから考える人には、最初から手順を細かく決めるより、目的と途中の確認日を共有したほうが動きやすいことがあります。
私生活と仕事で必ず同じ行動を取るとは限りませんが、その人の考え方を知るヒントにはなります。
物事を進めるときの考えを聞く
仕事の進め方が合わないと感じたら、相手が何を基準に判断しているかを聞いてみます。
自分はスピードを大切にしていても、相手は間違いを防ぐことを優先しているかもしれません。
自分は途中で何度も相談してほしいと思っていても、相手は「忙しそうな人に何度も声をかけるのは申し訳ない」と感じているかもしれません。
お互いの基準が分かれば、どちらが正しいかを争うのではなく、その仕事では何を優先し、どのように連携するかを決められます。
大切な人との関わり方から、心地よい距離感が見える
本人が話してくれる場合は、大切な人とどのように関わっているかを聞くことで、心地よい関係性が見えることがあります。
仕事でも、頻繁に声をかけてもらうと安心する人と、任せてもらったほうが集中できる人がいます。
どのような関わり方を心地よいと感じるかが分かると、相手との距離の取り方や、支援の仕方を考えやすくなります。
ただし、家族構成や人間関係について詳しく聞くことが目的ではありません。
本人が話したくないことへ踏み込まず、話せる範囲を尊重することが前提です。
相手を理解したら、仕事の進め方に反映する
相手のことを知っても、仕事の進め方が変わらなければ、同じすれ違いが起こります。
分かったことを、具体的な連携方法へ変えていきます。
| 相手について分かったこと | 仕事でできる工夫 |
|---|---|
| 事前に計画を立てたい | 目的、期限、完成イメージを早めに共有する |
| まず試してから考えたい | 小さく始め、途中の確認日を決める |
| 正確さを大切にしている | 急ぐ部分と丁寧に確認する部分を分ける |
| 一人で考えてから相談したい | 完成前に一度共有する基準を決める |
| 文章で確認したい | 口頭で伝えた内容をチャットにも残す |
| 忙しそうな人に声をかけにくい | 相談してよい時間や方法を決める |
| 頻繁に確認されると動きにくい | 任せる範囲と報告のタイミングを明確にする |
相手にすべて合わせる必要はありません。
自分の進め方も伝え、お互いが安心して仕事を進められる方法を探します。
苦手なままでも、一緒に働くことはできる
相手のことを理解したからといって、必ず好きになれるわけではありません。
価値観の違いが分かっても、苦手意識が完全にはなくならないこともあります。
職場で、全員と親しくなる必要はありません。
大切なのは、苦手意識があっても必要な相談ができることです。
認識がずれそうな部分を事前に確認できる。
相手が受け取りやすい方法で情報を伝えられる。
ミスが起きたときに、相手の性格だけを原因にせず、連携方法を見直せる。
その状態をつくることが、仕事を一緒に進めるうえでの安心につながります。
「苦手かも」と思った人ほど、避ける前に、その人自身を知っておく。
相手が何を大切にし、どのように考え、なぜその行動を取るのかが分かれば、自分とは違うことが、そのまま問題なのではないと気づけるかもしれません。
Think for Designは、人の違いを働きやすさへつなげます
Think for Designでは、個別面談やワークショップを通して、一人ひとりの価値観、強み、仕事の進め方、心地よい関わり方を整理します。
ただお互いを知って終わるのではなく、
- どのように仕事を依頼するか
- 何を優先するか
- どの段階で相談するか
- どの方法で情報を共有するか
- それぞれの強みをどの役割で生かすか
という、実際の働き方へつなげていきます。
仕事の進め方が合わない社員同士がいる。
小さな認識のずれから、ミスや手戻りが起きている。
苦手意識から、必要な相談まで減っている。
そのような場合は、誰が悪いかを決める前に、お互いが大切にしていることや、仕事の進め方の違いを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。