広報・採用

発信が続かないのは枠がないから

「発信を続けたいのですが、どうしても止まってしまいます」。広報や採用のご担当者から、よくいただくご相談です。

お話をうかがうと、やる気が落ちているわけではありません。ネタ帳もありますし、書きたいこともある。それでも、月に1本が2か月に1本になり、そのうち止まります。

原因は意志ではなく、時間の置き場所にあることがほとんどでした。

やることリストに書いた時点で負けている

広報のお仕事は、たいてい他の業務と一緒に、1つのやることリストに並んでいます。

やることリストは、全部が同じ一行で並びます。「役員に資料を出す」も「記事を書く」も同じ一行です。同じ重さで並んでいれば、手は上から順に伸びていきます。先に片づくのは、締め切りのあるほうです。相手が待っているからです。

記事や採用ページは、誰も急かしません。今週書かなくても、誰も困りません。困らないまま、半年が過ぎていきます。

ここを「続ける工夫が足りない」という話にしてしまうと、たいてい解決しません。同じリストに並べた時点で、順番はもう決まっているからです。必要なのは、リストから出して予定表に移すことです。

移すのは1種類だけ

いま抱えているお仕事を、4つに分けてみてください。

  1. 締め切りのある仕事。日付があって、人が待っているもの。
  2. 締め切りのない大事な仕事。誰にも急かされないのに、来年の採用や受注を決めてしまうもの。記事、採用ページ、社員インタビュー。
  3. 返すだけの仕事。5分で終わる返信や承認。
  4. やらなくてもいい仕事。やめても誰も困らないもの。

このうち予定表へ移すのは、2つ目だけです。残りはリストに置いたままで構いません。4つに分けるのは、2つ目を見つけ出すためだけの作業です。

4つ目は、見つけた時点でやめて構いません。毎月作っているけれど誰も読んでいない資料は、探すと意外に出てきます。「来月は出しませんが、困りますか」と聞けば、だいたいは困りません。ここでできた時間が、そのまま2つ目に回ります。

枠に書く3つの条件

予定表に移すときは、条件を3つつけます。動詞で書く。長さを決める。終わりの形を書く。

「広報」とだけ書いた枠は、その時間が来ても動き出せません。中身が決まっていないので、まず何をするか考えるところから始まり、そのうち別の用件が入ってきます。

広報のお仕事で、前と後を並べてみますね。

  • 「SNS」→「来月の投稿ネタを10個出す。45分。10行のメモができていれば終わり」
  • 「採用ページ」→「先輩社員の紹介文の1行目を3案書く。60分。3案が紙に並んでいれば終わり」
  • 「事例記事」→「先月終わった1件について、担当者に3つ質問する。30分」
  • 「社内報」→「今月入社した方の写真を3枚選ぶ。30分」

後者は、その時間が来たら考えずに手が動きます。取りかかれる形にしてあるかどうか。ここが分かれ目だと思っています。

「終わりの形」も外せません。書いておかないと、60分やってもまだ良くなる気がして、2時間続けてしまいます。1度そうなると、次の週から、その枠を置くのが怖くなる。時間の読めないものは、予定に入れたくなくなるからです。「3案書けたら終わり」と決めておけば、その時間の中で切り上げられます。

1週間に3つまで

1週間を5日と数えれば、1日1つで5枠とれそうに見えます。実際にはまず入りません。急ぎの依頼も、差し込みの会議もあります。5枠置いた週は、どれも途中で止まったまま翌週に送られていきます。

上限を3つにしておけば、1つ潰れても2つは残ります。2つ残った週は、それだけで前へ進んだ1週間になります。

3つという上限には、もう1つ良いところがあります。絞れば順番をつけざるをえないので、今週は手をつけないものも同時にはっきりする。全部が大事に見えて決められないときは、これをやらないまま1年経ったら、いちばん困るのはどれかと聞いてみてください。この問いだと、たいてい答えが1つに寄っていきます。

広報の仕事は枠でしか守れない

広報や採用の仕事は、成果が出るまでに時間がかかります。だから、急ぎの仕事に押されても誰にも怒られません。そうして押され続けた結果が、1年後に「応募が来ない」「知られていない」という形で返ってきます。

逆に言えば、週に60分から90分の枠を3つだけ、人と会う予定と同じ扱いで押さえておく。それだけで守れます。置く場所は朝いちばんか、電話が鳴らない時間帯がよさそうです。

はじめのうちは、3つのうち1つか2つは流れます。それで構いません。四半期に1本も出せていなかった発信が、月に1本出るようになれば、1年で12本たまります。流れたものは、次の週の同じ時間に置き直してください。

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