広報の点検に、AIの答えを足す
広報の仕事に、いま静かに増えている項目があります。自社が、AIにどう説明されているか。
採用サイトを整える、プレスリリースを出す、SNSを続ける。どれも、届け先に人がいる前提で組み立てられています。ところがこの数年で、企業の情報を最初に読むのが人ではなく、AIであるという場面が増えました。
読まれているのは、自社サイトとはかぎらない
先日、自分たちの会社まわりで実測してみました。
4つのAIに同じ質問を繰り返して、答えの中で参考として示されたURLを集める。すると、同業各社のサイトに混ざって、「おすすめ◯社」型の比較記事が並んでいました。
検索の順位を誰も持っていない領域でも、AIは何かを読んで会社名を挙げています。その何かは、自社が書いた文章とはかぎりません。
広報の観点で言うと、これは前提が変わったということです。自社の言葉を整えることは必要ですが、それだけでは、外で語られている自社を管理できません。
名前が混ざる、という実例
測っていて、社名の似た別業種の会社が、答えの中に混ざっていました。建設業と、空間デザインの会社です。事業はまったく違うのに、名前が近いというだけで同じ枠に入っている。
採用の場面を考えると、これは軽い話ではありません。応募を考えている人が、会社名で調べる。返ってきた説明に、別の会社の事業が混ざっている。人はその違和感を、たいてい言葉にしません。ただ、少し離れます。
対処は、社名と事業と所在地が必ずセットで書かれた文章を、外に増やしていくことです。区別できる材料が無ければ、AIも区別できません。
点検を、担当者の仕事として型にする
ここで大事なのは、これを「詳しい人が気づいたときにやること」にしないことだと思っています。属人的なままだと、その人が異動した瞬間に止まります。
四半期に一度、10分の点検として型にしてしまうほうが続きます。
- 4つのAIに、同じ質問を同じ日に投げる。
- 自社の名前が出たか、一緒に挙がった会社は誰かを書く。
- 参考として示されたURLを書き出す。
質問は2種類あれば足ります。ひとつは事業の言葉で探したときの質問。もうひとつは、自社名をそのまま入れて「どんな会社ですか」と聞くもの。後者は、事実と違う説明が返ることが珍しくありません。
記録が3回たまると、変化が見えます。1回目は現状把握にしかなりませんが、3回目には、何をした四半期に何が動いたかが読めるようになります。
担当者が育つのは、判断できるようになったとき
この点検を勧めているのは、AI対策そのものより、担当者の育ち方につながると思っているからです。
広報や人事の仕事は、成果が出るまでが長く、途中の判断材料が乏しくなりがちです。手応えのないまま続けていると、だんだん作業になります。
数字を自分の手で取っていると、そこが変わります。上司や外部の会社に「どうですか」と聞かなくても、自分で状況を説明できるようになる。説明できる人は、次に何をするかも自分で決められます。
10分の点検が渡すのは、AIの評価そのものではなく、判断できる状態のほうです。