人事担当者がいない会社の社員相談窓口は、誰が担当する?
中小企業では、人事担当者がいなかったり、総務担当者が人事業務を兼任していたりすることがあります。
相談窓口は、必ずしも専任の人事担当者を新しく採用しなければつくれないものではありません。大切なのは、相談内容に応じて役割を分け、社員が安心して話せる方法を設計することです。
社員の相談が、社長一人に集中していませんか?
人事担当者がいない会社では、社員からの相談を社長が直接受けていることがあります。
社員との距離が近く、経営者が一人ひとりの状況を把握できることは、中小企業ならではの良さです。相談を受けたその場で、業務や働き方を調整できる場合もあります。
一方で、社長が社員の評価や配置、給与を決める立場でもあると、社員はすべてを率直に話せるとは限りません。
たとえば、次のようなことは言い出しにくいものです。
- 今の仕事が自分に合っていないと感じている
- 上司との関係に悩んでいる
- 別の仕事や役割に関心がある
- 仕事への意欲が下がっている
- 家庭との両立に負担を感じている
- 退職するか迷っている
社員が「話したら評価に影響するかもしれない」「会社への不満だと思われたくない」と考えれば、表面的な相談だけで終わってしまいます。
また、社長がすべての相談に対応しようとすると、本来の経営業務に加えて、社員一人ひとりの悩みまで抱えることになります。
相談しやすい会社をつくることと、社長がすべてを背負うことは同じではありません。
相談窓口を担当する3つの方法
人事担当者がいない会社が社員の相談体制をつくる方法は、大きく3つあります。
1.社長や管理職が相談を受ける
日々の仕事に関する相談は、社長や直属の上司が担当する方法があります。
業務内容や職場の状況を理解しているため、相談を具体的な改善につなげやすいことがメリットです。
たとえば、次のような内容は、社内で話し合う必要があります。
- 業務量や担当業務の調整
- 必要な教育やサポート
- 目標や評価基準の確認
- チーム内の情報共有
- 今後任せたい役割
- 働き方に関する相談
ただし、上司が評価者でもある場合、社員が率直に話しにくいことがあります。また、管理職が部下の人生や家庭、心身の問題まで一人で抱えようとすると、管理職自身の負担も大きくなります。
社長や管理職には、会社として判断しなければならないことを担当してもらい、それ以外の相談については別の場を用意する方法も考えられます。
2.総務などの社員が兼任する
社内の総務担当者や、社員から信頼されている人に相談窓口を兼任してもらう方法もあります。
普段から会社にいる人が担当するため、社員が相談先を見つけやすく、職場の状況も理解してもらいやすい。
ただし、「話を聞くのが得意そうだから」という理由だけで任せるのは注意が必要です。
相談を受けた人が、どの情報を会社へ共有するのか、どこまで自分で対応するのかが決まっていないと、かえって問題が複雑になることがあります。
兼任者を置く場合は、少なくとも次の点を決めておく必要があります。
- どのような相談を受けるのか
- 相談内容を誰に共有するのか
- 本人の同意が必要な情報は何か
- 緊急時は誰につなぐのか
- 相談担当者自身が困ったとき、誰に相談するのか
相談担当者に守秘を求めるだけでなく、会社側が役割と対応範囲を明確にすることが重要です。
3.外部の相談窓口や面談者を利用する
社内で相談役を確保するのが難しい場合は、外部のキャリアコンサルタントやカウンセラーなどと連携する方法があります。
外部の面談者は、社員を評価したり、給与や配置を決めたりする立場ではありません。そのため社員にとって、社内では言葉にしにくいことを整理しやすい場合があります。
外部面談では、単に不満を聞くだけではなく、次のようなことを整理できます。
- 自分が何に悩んでいるのか
- どのような場面で力を発揮できているか
- 今の仕事で生かせていない経験や強みはあるか
- 会社に何を相談したいのか
- 自分自身で試せることは何か
- 会社からどのような支援があると動きやすいか
整理した内容のうち、本人が会社と話し合いたいものは、上司との1on1などにつなげます。
外部の面談者が社員の要望をそのまま会社へ伝えるのではなく、本人が自分の状態や希望を言葉にし、会社と対話できるように支援することが大切です。
一人にすべて任せるのではなく、相談内容で役割を分ける
社員相談窓口は、誰か一人を選んですべてを任せればよいものではありません。
相談内容によって、適切な担当者は異なります。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 業務量、担当業務、役割、目標 | 上司・管理職・経営者 |
| 今後のキャリア、強み、働き方の整理 | 外部キャリア面談・社内の面談担当者 |
| 心身の不調や健康上の問題 | 医師・産業医・産業カウンセラーなど |
| 労務、就業規則、制度に関する問題 | 社労士などの専門家 |
| ハラスメントや法的な問題 | 社内の正式な窓口・弁護士など |
特に、医療的な判断が必要な状態や、ハラスメント、法的な問題については、専門家や正式な窓口につなぐ必要があります。
社員にも、「何を、誰に相談できるのか」をあらかじめ伝えておくとスムーズです。
Think for Designの外部キャリア面談
Think for Designでは、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントが在籍しているため、人事担当者がいない中小企業向けの個別キャリア面談と、組織へのフィードバックを行っています。
面談では、現在の仕事だけを切り取るのではなく、本人がこれまで経験してきたことや、自然に力を発揮できた場面、大切にしていることを整理します。
そのうえで、現在の仕事との接点を見つけ、今の会社で試せる役割や、上司へ相談したいことを言葉にしていきます。
個人的な面談内容をそのまま会社へ伝えることはありません。本人が共有に同意した内容や、個人が特定されない組織の共通傾向をもとに、会社として取り組めることをご提案します。
「人事担当者を採用するほどの規模ではないけれど、社員が安心して話せる機会をつくりたい」
「社長や管理職だけで、社員の相談を抱え続けるのは難しい」
そのような場合は、まず現在の相談体制を整理するところからお手伝いします。少人数の面談から始めることもできますので、お気軽にご相談ください。