働く意欲を上げたいなら、「休日の過ごし方」を聞いてみる

人材育成

社員の働く意欲を高めたい。

そう考えたとき、多くの会社では「仕事の中」を整えようとします。

給与を見直す。
仕事量を調整する。
役割を明確にする。
評価制度を整える。
やりがいのある仕事を任せる。

もちろん、どれも大切なことです。

でも、社員の「働く理由」は、本当に仕事の中だけにあるのでしょうか。

多くの人は、仕事以外の時間を大切にしながら働いている

現実的な話ですが、多くの人にとって仕事は人生のすべてではありません。

「今日仕事が終わったら、友達とご飯に行こう」

「これから地元に帰って連休を過ごそう」

「今週を乗り切れば旅行に行ける」

「久しぶりに恋人と休みが合ったから、今日は会える」

そんなささやかな楽しみを胸に秘めながら、目の前の仕事に取り組んでいる人がたくさんいます。

家族との時間を大切にしている人もいれば、趣味のために働いている人もいる。

旅行が生きがいの人もいれば、好きなものを買うことがモチベーションになっている人もいるでしょう。

ところが職場では、

「仕事中にプライベートの話をするべきではない」

「仕事とプライベートは分けたほうがいい」

と考え、あえて仕事以外のことを話さない人も少なくありません。

真面目な人ほど、そうかもしれません。

しかし、仕事以外の時間に少し目を向けることが、結果として仕事への意欲につながることがあります。

「旅行楽しんできてね」の一言が残ることがある

例えば、部下から以前、

「今週末、久しぶりに旅行に行くんです」

と聞いていたとします。

金曜日、仕事が予定より早く片付いた。

そんなとき、

「これ終わったら、一本早い電車に乗れそうだし今日は帰っていいよ」

「今週もお疲れさま。旅行楽しんできてね」

そんな一言をかけてもらえたらどうでしょう。

会社にとっては、ほんの一言かもしれません。

でも本人にとっては、

「自分が楽しみにしていたことを覚えていてくれた」

という経験になります。

そして休みが終わって「明日から仕事か」と思ったときにも、

「あのとき配慮してもらったし、また頑張ろう」

と、少し気持ちを切り替えやすくなることがあります。

これは、会社への恩返しを求めるという話ではありません。

人には感情があります。

業務上の関係であっても、自分が大切にしているものを大切に扱ってもらえた経験は残ります。

その積み重ねが、会社や一緒に働く人への信頼につながり、結果として仕事への意欲に還元されることがあります。

休日の話から「働く理由」が見えてくる

だからこそ、社員との対話では仕事の話だけで終わらせず、

「休みの日は何をしているんですか?」

「最近楽しみにしていることはありますか?」

「何をしているときが一番楽しいですか?」

といった話にも、少し興味を持ってみてほしいと思います。

大切なのは、単なる雑談で終わらせないことです。

話を聞いていくと、その人が何のために働いているのかが見えてくることがあります。

例えば、旅行が大好きな社員がいたとします。

話を聞くうちに、

「もっといろいろな場所へ行きたい。でも今はお金も時間も足りない」

という気持ちが出てきた。

それなら、

「もっと気持ちよく休めるように、普段の仕事を早く終わらせるにはどうしたらいいだろう」

と一緒に考えることができます。

あるいは、

「もう少し収入を増やして、年に何回か海外旅行に行きたい」

という希望があるなら、

「その収入を目指すなら、社内でどんな役割を担えるようになるといいだろう」

と仕事の話につなげることもできます。

仕事の目標を先に決めて、そこに本人を合わせるのではありません。

「こんな生活がしたい」

「こんな時間を大切にしたい」

「この人との時間を守りたい」

「これをもっと楽しみたい」

という人生側の希望があって、

そのために仕事をどうしていくかを一緒に考える。

この順番に変えるだけで、「会社から与えられた目標」が「自分のために達成したい目標」に変わることがあります。

「仕事を頑張れ」より「その生活を実現するには?」

例えば会社から、

「来年はリーダーを目指してほしい」

と言われても、本人にその気がなければ、それだけで意欲が高まるとは限りません。

でも本人が、

「子どもが大きくなる前に、家族でいろいろなところへ旅行したい」

と思っていることが分かったとします。

そこから、

「その生活をするには、どのくらいの収入や休みがあるといい?」

「今より収入を上げるとしたら、どんな働き方ができそう?」

「会社の中では、どんな役割を担うとそこに近づけそう?」

と一緒に考えていく。

すると、「昇進する」「仕事を頑張る」という会社側の目的と、本人の人生が初めてつながります。

人は必ずしも、仕事そのものを好きになることで仕事への意欲が高まるわけではありません。

仕事の先に、自分が大切にしたい生活が見えている。

それも十分な「働く理由」になります。

ただし、プライベートは「聞けばいい」わけではない

ここまで読むと、

「プライベートについて聞くのはハラスメントにならないだろうか」

「そもそも社員がそんなことを話してくれない」

と思う方もいるでしょう。

当然、話したくないことまで聞く必要はありません。

家族、恋愛、結婚、出産など、本人が話したくないことを深掘りすることも避けるべきです。

大切なのは、会社が知りたいから聞き出すことではなく、本人が話してもいいと思える環境であるか。

そして、聞いた情報を評価や人事判断の材料として安易に扱わないことです。

上司との1on1で突然、

「休日は何してるの?」

と聞かれても、警戒する人もいるでしょう。

そこで一つの方法として、ワークショップのような場をつくることがあります。

ワークショップなら、仕事以外の自分を話すきっかけをつくれる

例えば、

「最近楽しみにしていること」

「今年やってみたいこと」

「時間があったらやりたいこと」

「自分が大切にしている時間」

などをテーマに、社員同士で話してみる。

上司だけが社員に質問するのではなく、立場に関係なく自己開示しながら、少しわいわい話せる場をつくります。

すると、

「実はキャンプが大好きだった」

「毎週子どものサッカーを見るのを楽しみにしていた」

「いつか海外旅行に行きたいと思っていた」

など、普段の業務だけでは見えなかった一面が見えてくることがあります。

それを知っているだけでも、日常のコミュニケーションは変わります。

「今週試合だったよね。どうだった?」

「来週旅行って言ってたね。楽しんできて」

そんな小さな会話が生まれる。

そして、その積み重ねが、

「この会社では、仕事をしている自分だけではなく、自分という人間を見てもらえている」

という感覚につながっていきます。

仕事だけを見て、働く意欲を考えない

社員の働く意欲が下がっているとき、私たちはつい仕事の中に原因を探します。

給与なのか。

仕事内容なのか。

評価なのか。

人間関係なのか。

もちろん、それらを整えることは重要です。

でも、人は会社員である前に、一人の人間です。

仕事が終わったあとにも人生があります。

好きな人がいて、家族がいて、趣味があって、行きたい場所があって、大切にしたい時間があります。

だからThink for Designでは、仕事だけを切り取って「どうしたらもっと頑張ってもらえるか」を考えるのではなく、その人がどんな人生を送りたいのかまで含めて、働き方を考えることを大切にしています。

社員の働く意欲を高めたい。

そう感じたときこそ、

「仕事で何がしたい?」

だけではなく、

「仕事以外では、どんな時間を大切にしたい?」

と聞いてみる。

そこに、その人が働く理由を見つけるヒントがあるかもしれません。

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