何でも相談してほしい。でも、何を言われるか少し怖い
仕事では、困ったことを一人で抱え込んでほしくない。
仕事がつらいときや、人間関係に悩んだときは、早めに相談してほしい。
そう思って、
「何かあったら、いつでも相談してね」
と伝えている経営者や管理職の方も多いと思います。
けれど、実際に社員から、
「少し相談したいことがあります」
と言われると、心の中がざわつくことはありませんか?
何を言われるのだろう。
退職の相談だったらどうしよう。
会社への不満だったら、冷静に聞けるだろうか。
すぐには解決できないことを求められたら、どう答えればよいのだろう。
相談してほしいと思っている気持ちは本当。
それでも、何を言われるか少し怖い。
一見矛盾しているようですが、どちらも本音ですよね。
相談を受けたら、何とかしなければならないと思ってしまう
社員から相談を受けると、「解決しなければならない」と感じやすいものです。
仕事量が多いと言われたら、業務を減らさなければならない。
給与に納得できないと言われたら、待遇を変えなければならない。
上司と合わないと言われたら、配置を変えなければならない。
家庭の事情で働き方を変えたいと言われたら、希望に応えなければならない。
けれど、会社には人員や売上、取引先との約束があります。
一人の希望だけを見て、すぐに仕事や制度を変えられるとは限りません。
相談を聞いても応えられないかもしれない。
期待させて、がっかりさせてしまうかもしれない。
そう考えると、「相談してほしい」と言いながらも、心のどこかで話が出てこないことに安心してしまうことがあります。
それは、
一度聞いたら、その問題に責任を持たなければならないと感じているからこその怖さかもしれません。
社員も「話したら何かが変わる」と期待しているわけではない
相談というと、解決策を求められているように感じます。
しかし、社員本人も、何をしてほしいのか分からないまま話しに来ることがあります。
「最近、仕事へ行くのが少しつらい」
「自分にこの仕事が合っているのか分からない」
「社内でうまく話せなくなっている」
このような相談は、本人の中でもまだ整理されていません。
すぐに仕事を減らしてほしいわけでも、異動したいと決めているわけでも、会社を辞めたいと決めているわけでもない。
ただ、このまま一人で抱え続けるのが苦しくて、誰かに話してみようとしていることもあります。
その段階で解決策を急ぐと、本人の本当の困りごととは違う方向へ話が進んでしまうかもしれません。
相談を受けることは、社員の希望をすべてかなえることではありません。
まずは、その人が何を感じ、どこで困っているのかを、一緒に確認することなのだと思います。
また、社員の気持ちを受け止めることと、要望をそのまま受け入れることは別です。
話を聞いたあとで、
- 本人が自分で整理できること
- 上司と相談して決めること
- 会社として見直すこと
- 社内だけでは対応せず、専門家へつなぐこと
を分けて考えれば大丈夫です。
経営者が、社員の仕事、家庭、人間関係、健康の問題まで、すべて一人で解決する必要はありません。
「何でも相談して」では、社員も迷うことがある
経営者が「何でも相談してほしい」と思っていても、社員は何をどこまで話してよいのか分からないことがあります。
会社への不満を言ったら、評価に影響するのではないか。
家庭のことを話したら、仕事を任せてもらえなくなるのではないか。
上司との関係を相談したら、本人へそのまま伝わるのではないか。
そう考え、「大丈夫です」と答えてしまう社員もいます。
「何でも」という言葉は優しい一方で、範囲が広いからこそ話しにくいこともあります。
例えば、
「最近、仕事を進めにくいと感じることはある?」
「今の仕事量は、このまま続けられそう?」
「今後、経験してみたい仕事はある?」
「上司や会社へ伝えにくいと感じていることはある?」
と、少し具体的に聞いてみると、社員も話し始めやすくなります。
詳しい事情まで無理に聞き出す必要はありません。
会社として働き方を考えるために、どのようなことを確認したいのかを伝えるだけでも、相談のハードルは下がります。
経営者が怖さを感じたまま、無理に聞かなくてもいい
社員の話を聞くことが大切だと分かっていても、経営者自身に受け止める余裕がない日もあります。
自分の判断を否定されたように感じることもあれば、社員の言葉に腹が立つこともあるでしょう。
その気持ちを隠しながら、いつでも冷静に話を聞こうとすると、経営者の負担がさらに大きくなります。
社員に話せる場所が必要なように、経営者にも気持ちを整理できる場所が必要です。
社員との間に直接の利害関係がない人へ話すことで、
「何を言われるのが怖かったのか」
「会社として何ができないと感じているのか」
「本当は社員とどのような関係をつくりたいのか」
が見えてくることがあります。
経営者が自分の気持ちを整理してからであれば、社員の相談も少し違う聞き方ができるかもしれません。
話す側も、聞く側も安心できる場所をつくる
Think for Designでは、社員だけではなく、経営者や管理職も安心して話せる場所を目指しています。
社員との面談では、本人の不満や要望をそのまま会社へ届けるのではなく、
本人が何に困っているのか、自分でできることは何か、上司や会社へ相談したいことは何かを整理します。
経営者とは、会社として見直せる環境や共通する課題を一緒に考えます。
経営者と社員のどちらか一方が抱え込むのではなく、安心して話せる方法を一緒につくる。
そこから、困ったことが大きくなる前に話せる職場へ、少しずつ変わっていくのだと思います。