社員のモチベーションは、会社が上げるものなのか
社員のモチベーションが下がっているように見えたとき、企業ではさまざまな対策が考えられます。
評価制度を見直す。成果に応じて報酬を与える。研修を実施する。上司が声をかけ、新しい目標を設定する。
どれも必要な取り組みです。しかし、実施した直後は意欲的になっても、しばらくすると元の状態へ戻ってしまうことがあります。
それは、会社の取り組みが足りないからでも、社員にやる気がないからでもないかもしれません。
そもそも、モチベーションは会社が外から与え続けるものなのでしょうか。
人によって、頑張れる理由は違う
同じ職場で同じ仕事をしていても、何によって意欲が高まるかは人によって異なります。
目標を達成することに喜びを感じる人もいれば、お客様から直接感謝されることで力が湧く人もいます。
新しい知識や技術を身につけたい人、チームで協力して仕事を進めたい人、自分なりに工夫できることを大切にする人もいるでしょう。
安心して働けることが原動力になる人もいれば、少し難しい課題へ挑戦しているときに充実感を得る人もいます。
ところが、社員自身も「自分は何があれば頑張れるのか」を理解しているとは限りません。
仕事に大きな不満はないけれど、なぜか意欲が湧かない。任された仕事はこなしているけれど、この先も続けたいのか分からない。
その状態で新しい目標を与えられても、自分にとって取り組む意味が見つからなければ、行動は長続きしにくくなります。
外から与えられるモチベーションも必要
モチベーションには、大きく分けて「外発的動機」と「内発的動機」があります。
外発的動機とは、評価、報酬、昇進、表彰、周囲からの期待など、外から与えられるものによって生まれる意欲です。
「成果を出せば評価される」
「目標を達成すれば、報酬が増える」
「上司から期待されているため、頑張りたい」
このような動機は、行動を始めるきっかけになります。仕事において、評価や報酬が不要ということではありません。努力や成果が適切に認められることは、安心して働くうえでも大切です。
一方で、外発的動機だけに頼っていると、評価や指示がない場面では動きにくくなることがあります。
会社が新しい目標や報酬を用意し続けなければ、意欲を保てない。仕事の目的よりも、「どうすれば評価されるか」が判断の中心になる。
すると、社員に主体性を求めながら、実際には会社が動く理由を与え続けなければならない状態になってしまいます。
長く続く意欲は、本人の内側から生まれる
内発的動機とは、興味や関心、やりがい、成長実感、誰かの役に立ちたいという思いなど、本人の内側から生まれる意欲です。
例えば、
「もっと、この分野について学びたい」
「自分の工夫によって、仕事が進めやすくなるのが面白い」
「お客様に喜んでもらえることがうれしい」
「将来目指したい役割のために、今の経験を積みたい」
といった気持ちです。
内発的動機があると、会社から細かく指示されなくても、自分なりに取り組む理由を見つけられます。
もちろん、毎日のすべての仕事にやりがいを感じる必要はありません。どのような仕事にも、得意ではないことや、やらなければならないことがあります。
大切なのは、目の前の仕事と、自分が大切にしたいことのどこかに接点があることです。
その接点があると、同じ業務でも意味の感じ方が変わります。
モチベーションが低いのではなく、仕事との接点が見えていない
仕事への意欲が低く見える社員も、最初から何も望んでいないとは限りません。
本当は人の役に立ちたいと思っていても、自分の仕事が誰にどのような価値を届けているのか分からない。
成長したい気持ちはあっても、今の仕事を続けた先に、どのような役割があるのか見えない。
周囲を支えることが得意でも、それを自分の強みだと認識しておらず、「自分にしかできないことはない」と感じている。
このように、自分が大切にしたいことや持っている力と、現在の仕事との接点が見えなくなると、仕事へ取り組む理由も分からなくなります。
その状態で会社から新しい目標を与えられても、本人にとっては「達成しなければならないもの」が一つ増えるだけかもしれません。
一方で、自分の価値観や強みを整理すると、今まで何となく取り組んでいた仕事の中にも、自分なりの意味を見つけられることがあります。
例えば、単調に感じていた資料作成も、「複雑な情報を分かりやすく整理し、チームの判断を助ける仕事」と捉え直せるかもしれません。
問い合わせ対応も、「決められた質問に答える仕事」ではなく、「不安を抱えているお客様の状況を整理し、安心して次の行動を選べるようにする仕事」だと気づくことがあります。
新人への業務説明も、「自分の仕事ではないのに時間を取られること」ではなく、「相手の理解度に合わせて伝え、成長を支援するという自分の強みを生かせる役割」と考えられるかもしれません。
仕事内容が大きく変わらなくても、自分の力がどこで役立ち、誰にどのような価値を届けているのかが分かると、仕事の見え方は変わります。
社員のモチベーションが低く見えるとき、意欲そのものが失われているとは限りません。
本人が大切にしたいことと、現在の仕事を結ぶ線が、まだ見つかっていない可能性があります。
モチベーションは「上げる」より「見つける」
社員のモチベーションを、会社がすべてつくることはできません。
一時的に気持ちを高めることはできても、本人の価値観や強み、働く目的とつながっていなければ、長く続く意欲にはなりにくいからです。
だからこそ、会社が無理にモチベーションを上げようとするのではなく、社員自身が自分の原動力を見つけることが大切です。
自分は何を大切にしているのか。
どのようなときに力を発揮できるのか。
何を目指しているのか。
今の仕事には、どのような意味を見つけられるのか。
これらが整理されると、社員は「会社から言われたから」ではなく、「自分にとって取り組む理由があるから」行動できるようになります。
会社も、一人ひとりを励まし続けるのではなく、本人の強みや価値観に合った役割、対話、挑戦の機会を考えやすくなります。
自分から動き出す原動力を見つけるために
Think for Designでは、社員自身が働く意味や行動の原動力を整理する「モチベーションデザインワークショップ」を行っています。
現在の仕事への気持ちを振り返り、理想の人生や働き方、大切にしている価値観、強み、心が動くことを整理しながら、現在の仕事や会社との接点を探していきます。
目指すのは、一時的に気持ちを高めることではありません。
社員が、
「自分は何のために働くのか」
「この会社で、どのような力を生かしたいのか」
「明日から、どのような行動を始めるのか」
を自分の言葉で考えられる状態です。
社員のモチベーション低下を、本人の意欲だけの問題にしたくない。研修や1on1を、実際の行動変化につなげたい。社員が自分から相談し、新しい役割や業務改善を提案できる組織をつくりたい。
そのための最初の機会として、モチベーションデザインワークショップをご活用いただければと思います。