社員の主体性を引き出す「ビジョン」の見つけ方
written by apricot
「将来どうなりたいですか?」
「仕事を通して実現したいことはありますか?」
社員との1on1やキャリア面談で、このような質問をしたとき、
答えに迷ってしまう社員も少なくありません。
社員の主体性を引き出すためには、本人が自分なりのビジョンを持つことが大切です。
しかし、ビジョンは会社から与えられるものではありません。また、すぐに答えを出せる人ばかりでもありません。
では、ビジョンをうまく描けない社員に対して、企業はどのような支援ができるのでしょうか。
なぜ社員にビジョンが必要なのか
ここでいうビジョンとは、仕事上の目標だけではなく、「これからどのように生きたいか」「どのような自分でありたいか」という、本人が望む未来のイメージです。
ビジョンが明確になると、自分が何を大切にしたいのか、何のために働くのかが見えやすくなります。
それは本人の内側から生まれる、内発的な動機づけにもつながります。
昇給や評価、表彰など、外部から与えられる動機も必要です。しかし、それだけではモチベーションが一時的なものになってしまうことがあります。
一方で、自分が実現したい未来と現在の仕事がつながると、
「この経験は、将来やりたいことに活かせそう」
「この仕事を通して、身につけたい力がある」
「理想の自分に近づくために、今できることを考えよう」
と、仕事を自分の人生に関係のあるものとして捉えられるようになります。
会社から言われたから取り組むのではなく、自分なりの意味を見つけて行動する。その状態が、社員の主体性につながっていきます。
多くの人がビジョンを描けない理由
実際には、「ビジョンを考えてみましょう」と伝えても、すぐに具体的な未来を描ける人は多くありません。
例えば、
- いつか結婚して、子どもを育てていると思う
- できれば、のんびり暮らしたい
- 仕事が終わったら、友人と食事に行ける生活がいい
- 今より少し収入が増えたらうれしい
といったイメージが出てくることがあります。
もちろん、これらも本人にとって大切な希望です。ただし、過去の経験や現在の生活から自然に予想できる「想像の範囲」にとどまっている場合もあります。
ビジョンを描けないのは、本人に意欲がないからとは限りません。
これまで、自分が何を望んでいるのかを立ち止まって考える機会がなかったり、現実的に考えすぎて、無意識のうちに選択肢を狭めていたりすることもあります。
「できるか、できないか」を先に考えてしまうと、本当に望んでいる未来は見えにくくなります。
大切なのは、無理に壮大な夢をつくらせることではありません。まずは、本人の心が動くものを見つけることです。
ビジョンが見えないときは「憧れの人」から考える
自分の未来をゼロから想像するのが難しい場合は、「理想の人」や「好きな人」を手がかりにする方法がおすすめです。
次の3つのステップで考えてみましょう。
1.理想の人や好きな人を3人挙げる
有名人や経営者でなくても構いません。
身近な先輩、友人、家族、SNSで見かける人、作品の登場人物など、「なぜか気になる」「こんな人になれたらいい」と感じる人を3人挙げます。
2.その人のどこに憧れるのかを書き出す
「好きだから」で終わらせず、どのような部分に惹かれているのかを具体的にしていきます。
例えば、
- 自分の考えを持ち、堂々と発信している
- 好きなことを仕事にしている
- 家族との時間を大切にしている
- 周囲から信頼されている
- 自由な働き方を実現している
- 新しいことに挑戦し続けている
- 人に安心感を与えている
といった要素です。
3.共通する価値観を見つける
3人に感じる魅力を並べてみると、自分が大切にしたい価値観が見えてきます。
例えば、「自由」「挑戦」「家族」「成長」「信頼」「貢献」「自己表現」などです。
人は、自分の中にまったく関心のないものには、強く憧れにくいものです。誰かに感じる魅力には、自分が望んでいる生き方や、これから育てたい部分が表れていることがあります。
その価値観をもとに、
「自分は、どのような状態で働いていたいのか」
「誰と、どこで、どのように過ごしたいのか」
「周囲にどのような価値を届けたいのか」
と問いを広げていくことで、自分らしいビジョンにつながりやすくなります。
ビジョンと仕事の接点を見つける
ビジョンを考える目的は、社員に夢を語ってもらうことだけではありません。
大切なのは、本人が描いた未来と、現在の仕事との接点を見つけることです。
例えば、「周囲から信頼される人になりたい」というビジョンが見えてきたら、現在の仕事でも次のような行動につなげられます。
- 任された仕事の進捗を自分から共有する
- 相手の話を最後まで聞く
- チームの困りごとに気づいて声をかける
- 約束や期限を守る
- 必要な知識を主体的に学ぶ
「将来こうなりたい」という思いと、「今の仕事で何をするか」がつながることで、日々の業務に本人なりの意味が生まれます。
会社の目標を一方的に伝えるだけではなく、社員自身のビジョンと組織の目指す方向を重ねていくこと。それが、持続的なモチベーションと主体的な行動を育てる土台になります。
ビジョンは、一度決めて終わりではない
ビジョンは、一度決めたら変えてはいけないものではありません。
経験や環境、ライフステージによって、大切にしたいことは変化します。そのため、定期的な1on1やキャリア面談の中で、本人の価値観や望む未来を振り返る機会をつくることが大切です。
また、すぐにビジョンが見つからない社員に対して、答えを急がせる必要もありません。
対話を重ねながら、本人の中にある興味や憧れ、心が動く瞬間を一緒に見つけていく。そのプロセス自体が、社員の自己理解を深めます。
社員が自分の未来を考え、その実現と現在の仕事を結びつけられるようになると、仕事は「やらされるもの」から「自分の未来につながるもの」へと変わっていきます。
社員のビジョンを引き出すワークショップを実施しています
Think for Designでは、社員一人ひとりの価値観や強み、理想の未来を整理し、仕事とのつながりを考えるコーチングやワークショップを実施しています。
社員の主体性を引き出したい、1on1をより意味のある時間にしたい、組織の目標と個人の思いを結びつけたいとお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
まずは社内で試してみたいという企業様に合わせて、内容や実施方法をご提案いたします。