社員面談の内容は会社へどこまで共有する?守秘義務と情報共有の線引き

コーチング

社員の本音を引き出し、職場環境や組織づくりに生かしたい。

そう思いつつ、社員が外部の面談者へ話した内容を、会社はどこまで知ってよいのだろうか?

外部キャリア面談を検討すると、そのような不安が生まれやすいです。

  • 社員が話した内容を会社は知れるのか
  • 何も共有されないなら、費用をかける意味はあるのか
  • 会社への不満ばかりが集まらないか
  • 家庭の事情や健康に関する情報をどう扱うのか
  • 組織改善に必要な情報を、どのように受け取るのか

会社が費用を負担している以上、面談の成果を知りたいと考えるのは自然なことです。

しかし、話した内容がすべて会社へ伝わるのであれば、社員は安心して話せません。

大切なのは、「すべて共有するか、何も共有しないか」の二択にしないことです。

面談を始める前に、情報をどのように分け、何を会社へ共有するのかを決めておく必要があります。

面談内容がすべて会社へ伝わると、本音を話しにくくなる

社員面談で会社が知りたいのは、表面的な回答ではないはずです。

社員が何に困っているのか。

どのような経験や強みを持っているのか。

今後どのような役割を担いたいのか。

働き続けるために、どのような支援が必要なのか。

こうしたことを知り、育成や役割、職場環境の改善に生かすことが、面談を行う目的の一つです。

ところが社員が、

「話したことは、すべて経営者や上司へ報告される」

「発言によって評価が下がるかもしれない」

「会社への不満だと思われるかもしれない」

と感じていれば、正直に話すことは難しくなります。

面談では「特に困っていません」「今のままで大丈夫です」という回答が増え、会社が知りたかったことほど見えなくなってしまいます。

社員が安心して話すためには、会社へ伝わらない内容があることも必要です。

何も共有しなければ、組織改善にはつながりにくい

一方で、「面談内容はすべて秘密です」として、会社へ何も共有しなければよいわけでもありません。

本人が面談で自分の気持ちや希望を整理できても、仕事内容や業務量、役割、上司との関わり方が変わらなければ、職場での困りごとが解消されないことがあります。

たとえば本人が、

「仕事が嫌なのではなく、優先順位が分からないことに困っていた」

「今の業務を続けながら、接客にも挑戦してみたい」

「家庭の状況を踏まえて、働き方について上司へ相談したい」

と気づいたとします。

その内容を本人の中だけにとどめてしまうと、会社は必要な支援を検討できません。

外部キャリア面談を組織改善につなげるためには、本人の秘密を守りながら、職場での対話に必要な情報を適切に橋渡しすることが大切です。

面談で扱う情報を3つに分ける

Think for Designでは、面談で出てきた情報を、大きく3つに分けて考えます。

情報の区分 内容の例 基本的な扱い
本人だけにとどめる内容 家庭の詳しい事情、過去の経験、感情の詳細、まだ整理されていない考え 本人の明確な同意なく会社へ伝えない
上司との対話に使う内容 希望する役割、必要な支援、業務上の負担、働き方に関する相談 本人と共有範囲や表現を確認して伝える
組織改善に使う共通傾向 複数の社員に共通する業務上の課題、相談体制、役割や育成に関する傾向 個人を特定できない形にして会社へ伝える

この3つを分けることで、社員の安心と会社にとっての面談の意味を両立しやすくなります。

1.本人だけにとどめる内容

本人だけにとどめるのは、仕事上の対応を考えるうえで、会社が詳細まで知る必要のない情報です。

たとえば、次のような内容があります。

  • 家族関係や家庭の詳しい事情
  • 過去のつらい経験
  • 個人的な悩みや感情の詳細
  • まだ本人の中で整理できていない考え
  • 特定の人に対する率直な感情
  • 本人が会社へ伝えることを希望していない個人情報

社員は、話しながら自分の考えを整理していきます。

その過程で出た言葉を、本人の最終的な希望として会社へ伝えるのは適切ではありません。

たとえば面談中に「もう辞めたい」と口にしたとしても、話を続けるうちに、

「会社を辞めたいのではなく、今の仕事の進め方を変えたかった」

「役割が曖昧な状態に疲れていた」

と気づくこともあります。

整理される前の言葉だけを会社へ伝えると、本人が意図していない受け取られ方をする可能性があります。

まずは本人が安心して話し、自分の状態を理解するための時間を守ります。

2.本人の同意を得て、上司との対話に使う内容

面談で整理したことの中には、上司と共有することで、仕事や働き方の改善につながる内容があります。

たとえば、次のような内容です。

  • 今後経験してみたい仕事
  • 生かしてみたい強みや過去の経験
  • 業務を進めるうえで必要な支援
  • 負担が集中している仕事
  • 上司と相談したい役割や働き方
  • 研修や育成に関する希望
  • 本人が試してみたい小さな行動

ただし、面談者が本人に代わって、これらを一方的に会社へ伝えるわけではありません。

共有する場合は、本人と次の点を確認します。

  • 何を伝えるのか
  • 誰に伝えるのか
  • 何のために伝えるのか
  • どのような表現で伝えるのか
  • 本人から話すのか、面談者が補足するのか

できる限り、本人が自分の言葉で上司へ相談できるように準備することも大切です。

外部面談で考えを整理し、社内の1on1で実際の役割や支援について話し合う。このように役割を分けることで、面談での気づきを職場の変化へつなげやすくなります。

3.個人を特定せず、組織改善に使う共通傾向

一人ひとりの詳しい話を会社へ伝えなくても、複数の面談から見えてきた共通傾向は、組織改善の材料になります。

たとえば、次のような傾向です。

  • 自分の役割や優先順位が分からない社員が多い
  • 困ったときの相談先が分かりにくい
  • 一部の人へ業務が集中している
  • 上司との1on1が業務報告だけになっている
  • 入社後に仕事を教える体制が整っていない
  • 社員の経験や得意なことが役割に生かされていない
  • 会社の理念と日々の仕事のつながりが伝わっていない
  • 社員が感じている会社の魅力が、採用や発信に生かされていない

会社へは、個人の発言としてではなく、組織全体の傾向として伝えます。

ただし、少人数の部署や特定の役割に関する内容は、名前を出さなくても発言者が分かってしまうことがあります。

その場合は、共有する時期を遅らせる、表現を広げる、複数の情報とまとめるなど、個人が特定されないように配慮します。

「匿名にしたから大丈夫」と考えるのではなく、社員が実際に特定される可能性まで確認する必要があります。

Think for Designでは、情報共有の設計から支援します

外部キャリア面談は、社員の話を聞くだけでは、組織改善につながりません。

一方で、面談内容をそのまま会社へ伝えてしまえば、社員が安心して話せる場ではなくなります。

Think for Designでは、面談を始める前に、会社と社員の双方が納得できる情報共有のルールを整理します。

面談では、本人の価値観や強み、現在の困りごとを整理し、

  • 本人の中にとどめること
  • 本人から上司へ相談すること
  • 会社側で見直したいこと

を分けていきます。

会社へのフィードバックでは、個人の不満を伝えるのではなく、役割、業務分担、育成、コミュニケーションなど、組織として検討できる形に整えます。

初めから全社員を対象にすることが不安な場合は、まず3〜5人程度から始め、面談の進め方や情報共有のルールを確認する方法もあります。

社員面談の内容をどこまで共有すべきか迷っている企業の方は、面談を始める前のルールづくりから一緒に考えてみませんか。

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