ブランディングって必要?病院でも”選ばれる理由”がいる時代
written by 中村 弘樹
「うちの業界には、ブランディングはいらないかな」。そう話される経営者の方は、いまもいらっしゃいます。比較されにくい業界、地域に競合が少ない業界、紹介で回っている業界、いろいろです。
ただ、医療機関や福祉法人の方からのご相談が増えるなかで、「ブランディングが要らない業界」というのは、もうほとんどないんじゃないかと感じるようになりました。
ブランディングは「選ばれ続ける仕組みづくり」
ブランディングというと、どうしてもおしゃれな見せ方の話に思われがちです。でも、僕の捉え方はもう少しシンプルで、「選ばれ続ける仕組みをつくること」だと思っています。
ほぼすべての業界に競合があり、お客さまには選択肢がある。これが、いまの前提です。「選ばれる側」であり続けたいなら、業種を問わずブランドの軸が必要になります。
理由その1:将来のリスクを減らすため
ひとつめの理由は、リスク回避です。地域に同業がいなくても、5年後10年後はわかりません。新しい競合や、別領域からの参入が起きてから慌てても、立て直しは難しい。
「いまは大丈夫」のうちに整えるからこそ、ブランディングは効きます。これは、経営の保険のような役割だと思っています。
理由その2:仕事をしていて、楽しくなるため
もうひとつの理由が、僕はけっこう大切だと思っているのですが、「楽しく働けるかどうか」です。
ブランドの軸が定まると、付き合いたいお客さまを自然と選べるようになります。価値観の合う人が集まり、合わない人が離れていく。スタッフも、自分たちが何のために働いているのかを語れるようになる。仕事の楽しさは、ここから戻ってきます。
医療・福祉でも、もう例外ではない
クリニック、歯科、介護施設、保育園。ご相談を受けるたびに感じるのは、「選ばれる理由」が言葉になっていないと、人が集まりにくくなっているという現実です。
これは、患者さんやご家族側のリテラシーが上がってきたからでもあると思います。情報が手に入りやすくなったぶん、「ここに行きたい」と思ってもらえる理由を持っているところが選ばれていく。僕たちが関わる領域も、年々広がっています。
選ばれる理由は、いまのうちに考えておく
いったん「選ばれない側」になると、立て直しは本当に大変です。だから、まだ選ばれているうちに、自分たちが選ばれている理由を言葉にしておく。
ブランディングは、必須ではないかもしれません。けれど、時代の変化に静かに備えておくための、いちばん丁寧な準備だと思っています。