評価制度を形にしたのは、作り直した回数だった

組織づくり

評価制度を、十数年のあいだに何回も作り直しました。

作ってはなくなり、また作ってはなくなる。今度こそうまくいくと思って作るのに、気づけば誰も口にしなくなっている。同じことを繰り返してきました。

そのあいだずっと、正しい評価制度というものがどこかにあって、そこへ寄せていけば済むと考えていました。

手を入れるほど基準の角が取れていく

最初に作ったときは、うちでこういう働き方をしてほしいと思える姿を置いて、そこから項目を分解しました。

ただ作りながら考えてしまいます。これは厳しすぎないか。不公平に感じる人がいないか。そうやって手を入れるうちに、誰にも嫌われない基準になっていきました。

できあがったのは、どこの会社でも使えそうな評価制度です。報告・連絡・相談ができる。主体的に行動する。どれも大切なことですが、うちでなくても大切なことでした。角を落としていくと、その会社の基準ではなくなります。

理想を入れたら基準が高すぎた

その反動で、次は自分の理想をそのまま入れてみました。

すると今度は基準が高すぎて、社員からすると届く気がしない。やる気を上げるために作ったはずが、逆に下げてしまいました。

制度は、書いてある内容そのものより、読んだ人が自分の来年を思い描けるかどうかで動き方が変わります。二回とも、僕はそこを見ていませんでした。

いまの形

いまは、その日の気分が評価に入り込まないように、数字を軸にしています。数字で見えない部分は、本人の自己評価と、周りや上司の目で補う。そのうえで、うちが仕事で大切にしている考え方を、評価の項目に入れています。

これで完成かどうかは分かりません。今も試している途中です。

作り直した回数のほう

振り返ると、いまの制度を形にしたのは、探した時間ではありませんでした。作り直した回数のほうです。

他社の制度を読んでいた時期に進んだことは、あまりありません。作って運用して、合わないところが出て直す。そこでしか、自分たちの言葉になりませんでした。

人が育つ仕組みは、置いてから直し続けたぶんだけ、その会社のものになっていくのだと思います。

変えることを前提に入れる

作り直すことを前提にすると、入れ方も変わります。

いきなり全員に当てないで、期間を区切って回してみる。次の評価までのあいだに一度、合わない項目を拾う場をつくっておく。戻し方が先に決まっていれば、制度を変えることが社内の事件になりません。

制度をいつ変えたのか。どこが合わなかったから変えたのか。それを残しておくと、次に気づくのが早くなります。同じ場面は二度と来ないので、一発で当てる腕は身につきません。かわりに、直すまでの速さは残した数だけ縮んでいきます。

分からないと言えるかどうか

以前の僕は、答えを持っている人が上に立つべきだと考えていました。聞かれたらすぐ返せて、迷いが出たら方向を指せる。それができる人が、いい経営者だと。

いまは、分かっていないことは分かっていないと社員に言います。そのうえで、違うと感じたら変える。外れたときは、外れた理由のほうを次に持っていく。

決めた日より、決めたあとの時間がずっと長いです。作ったものを回して、合わないところを直して、本人たちに説明してまた直す。この往復を続けられるかどうかで、最初の判断が正解になるかが決まっていくのだと思います。

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