「なんか違う」で戻す上司の下では、人が育たない
なんか違う、もう少し良くして。その言葉で戻された部下は、当てずっぽうで直すしかありません。判断の基準を持っているのが上司ひとりだと、部下に育つのは、その反応を読む技術だけです。同じ道具を渡しても差がつく理由と、日々のフィードバックをそのまま教材に変える話です。
なんか違う、もう少し良くして。その言葉で戻された部下は、当てずっぽうで直すしかありません。判断の基準を持っているのが上司ひとりだと、部下に育つのは、その反応を読む技術だけです。同じ道具を渡しても差がつく理由と、日々のフィードバックをそのまま教材に変える話です。
目標シートが毎年埋まらないまま出てくる。意欲の問題として処理すると、その人は据え置かれたままになります。未来の状態から考える人と、日々の在り方から考える人がいて、目標管理の様式は前者だけを前提にしていることが多い。面談の問いと、様式そのものを直す話です。
資料の作り方を教えるとき、もう少し見やすく、としか言えないことがあります。指導力の問題ではなく、判断がまだ言葉になっていないだけです。読みにくさは文字の四か所に原因があり、四つとも数字で決められます。数字にできれば、初日の人にも渡せる。できる人の判断を手順に置き直す話です。
研修も面談も入社初日も、中身は設計されているのに、終わり方は成り行きになっていることがあります。人は体験の長さを覚えておらず、一番強い瞬間と終わりの瞬間で全体を判断します。もっとも記憶に残る数分が、いつも誰の担当でもない。最後に何を渡し、何を言って終わるかを決めておく話です。
やる気のある人が動き出さないとき、原因を意欲に求める前に、その人の前に選択肢がいくつ置かれているかを見ておきたいと思っています。好きなところから手をつけていい、やり方は任せる。選ぶ自由を渡したつもりの言葉が、受け取る側では二十四種類のジャムと同じ景色になっていることがあります。
自分の仕事が会社のどの数字を動かしているか。これを言える人は、社内でも社外でも強くなります。ただ、現場に渡されている数字が売上までなら、追えるのも売上までです。見せていない数字を動かしてほしいと期待することはできません。数字を見せることは管理ではなく育成だ、という話です。
人件費は経費でしょうか、投資でしょうか。その人が一年で前より早く前より良いものを出せるようになっていれば、それは残って働く側です。ただし勝手にそうはなりません。任せる仕事と振り返る場所。この二つが無いと、経費のまま出ていきます。
若い人が育たない、というご相談の中身は、意欲ではなく「やったことの結果が本人に返っていない」ことのほうが多い気がしています。店の仕事は、並べ方を変えればその日のうちに返事が来ました。返事が返る回路をどう用意するか、三つのやり方を書きました。
この人は主体性がない。評価の場でよく聞く言い方には、その人の力は本人の中に一定量あって持ち歩いている、という前提が入っています。同じ人が、隣を変えると別人のように動くことがあります。育成の実務が、研修より先に組み合わせの話になる理由を書きました。